サイトマップ

交通事故の慰謝料

【コラム】交通事故交通事故の慰謝料

2017.11.6

1|交通事故の慰謝料

慰謝料と聞けば、離婚の慰謝料をまず頭に思い浮かべる人が多いと思いますが、交通事故に遭った場合にも、相手方から賠償金として慰謝料を支払ってもらうことが可能です。

慰謝料とは本来、精神的な損害のため、事故の大きさや傷害の程度だけではなく、個々人にとって様々であって良いはずですが、交通事故実務上は一定の基準により算出されていま す。

2|入通院慰謝料と後遺障害慰謝料

交通事故には、様々な損害項目がありますが、交通事故実務的には、大きく2つあり、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料があります。

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故の傷害の治療として、入院・通院した期間や回数をもとに算定する慰謝料です。原則として、傷害の有効な治療とされる期間にした入院・通院のみ慰謝料の対象とされます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、症状固定後の後遺障害の軽重により、その後遺障害の重さをもとに算定する慰謝料です。後遺障害慰謝料は、基本的には自賠責保険が後遺障害等級認定を行い、1級~14級の等級に基づいて支払われることになります。

3|自賠責保険の慰謝料の基準

自賠責保険において、慰謝料の基準は、一律に定められています。慰謝料については、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料があります。

入通院慰謝料については、1日につき4200円とされています。

後遺障害慰謝料については、以下の表をご参考ください。

①自動車損害賠償保障法施行令別表第1の場合
第1級第2級
1600万円1163万円
②自動車損害賠償保障法施行令別表第2の場合
第1級第2級第3級第4級第5級第6級第7級
1100万円958万円829万円712万円599万円498万円409万円
第8級第9級第10級第11級第12級第13級第14級
324万円245万円187万円135万円93万円57万円32万円

4|弁護士基準の後遺障害慰謝料

弁護士基準の後遺障害慰謝料は、以下の通りになります。

下の表は、いわゆる赤本に基づいたものとなりますが、自賠責基準の後遺障害慰謝料と比べ3倍程度開きがあることが分かると思います。

弁護士基準の後遺障害慰謝料
第1級第2級第3級第4級第5級第6級第7級
2800万円2370万円1990万円1670万円1400万円1180万円1000万円
第8級第9級第10級第11級第12級第13級第14級
830万円690万円550万円420万円290万円180万円110万円

5|慰謝料の相場

「交通事故の慰謝料の相場はいくらなのか」という質問をよく聞きますが、交通事故は毎年数十万件発生しており、ある程度類型的な相場観があるため、ここでご紹介していることは参考になると思います。

但し、上記記載は被害者に過失がない場合であり、過失がある場合は過失相殺の計算が必要となってきます。

6|慰謝料金額の基準

慰謝料は、治療費や通院交通費、休業損害のような「実際、いくらという出費があったので、その額を損害とする」ものとは異なり、入通院に要した期間や後遺障害の重さに応じた精神的苦痛を評価して損害額を決めるものです。

そのため、精神的苦痛の評価の仕方如何で、金額に差が生じ得ます。とはいっても、基準はあります。

基準は、大きく分けて「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「裁判基準(赤い本の基準)」があります。

自賠責保険基準は、自賠責保険金支払基準に則った算定方法で、傷害慰謝料は「4,200×通院実日数×2」くらい、後遺障害慰謝料は等級別に32万円~1,600万円となります。

任意保険基準は、保険会社の内部基準に則った算定方法で、自賠責保険基準と大きくは変わりません。

裁判基準は、裁判での慰謝料認定額の蓄積から作られた基準で、傷害慰謝料は入通院日数を基準に表へ当てはめて算定し、後遺障害慰謝料は等級別に110万円~2,800万円となります。

基本的には、裁判基準が最も金額が高くなります。

ただ、裁判基準はあくまで裁判にまで至った場合の認定目安であるため、交渉においても直ちに用いるべきと言えるかという問題はあります。

それでも、弁護士の交渉は、基本的に裁判基準を出発点とします。

7|慰謝料金額を定める要因

交通事故の慰謝料は、大きく分けて傷害慰謝料と後遺障害慰謝料とがあります。

傷害慰謝料は、交通事故による負傷のため入通院を強いられることとなったのに対する慰謝料で、入院の方が通院より金額は高く、入通院期間が長いほど金額は上がります。

治療の打ち切りは、治療費負担の部分だけでなく、傷害慰謝料金額にも悪影響を及ぼします。

後遺障害慰謝料は、交通事故の負傷につき後遺障害が残った場合、それに対する慰謝料として支払われるものです。

等級が重くなるほど金額が上がります。

非該当の場合は、基本的に認められません。

このように、慰謝料の金額の決定には、十分な治療を受けられたかということや後遺障害の等級が適正に認められているかということも関係してきます。

これらの点につき適正なサポートをすることは、慰謝料を多く認めてもらうためにも大事なことです。

被害者の方も一度専門家である弁護士に相談してみましょう。

<<【コラム】交通事故記事一覧
交通事故 なんでも情報局
交通事故の用語 後遺障害の種類