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交通事故の被害者請求と言われた時どのような手続きを行うのかを解説

【コラム】交通事故被害者請求

2015.9.29

1|被害者請求とは

被害者請求とは、交通事故の後遺障害等級の申請を被害者自ら行うことをいいます(自動車損害賠償法第16条)。

交通事故でケガをしてしまったら、まず病院で治療を行います。

しかし、ある程度治療を行っても、なかなか治らない状態になることもあります。

この症状のことを一般的に「症状固定」といいます。

すなわち、交通事故による後遺症が残ってしまった状態のことです。

交通事故事件では、症状固定後に後遺障害等級の獲得手続きが始まります。

事故の受傷後に6か月を経過した時点で、残存じた後遺障害についての後遺障害等級の獲得手続きを被害者自身が行うことを被害者請求といいます。

なお、受傷後6か月は平均的な目安で、傷病名によっては例外も多くあります。

後遺障害等級とは、交通事故で後遺症が残った場合に、状態に応じて認定される1級から14級の等級のことをいいます。

2|後遺障害の認定申請は被害者請求で行う

多くの場合、ケガの治療中は任意保険会社が医療機関に直接治療費を支払う一括払い(一括対応)となっています。

一括払いは加害者請求の一種ですが、後遺障害の認定申請のときは、任意保険会社に手続きを頼む(事前認定)のではなく、被害者請求として自賠責保険に直接申請するということもよく行われています。

「後遺障害の申請手続きを、これまで一括対応してもらっていた任意保険会社に対して行うのは事前認定」

「後遺障害の申請手続きを自賠責保険に対して行うのは被害者請求」

3|後遺障害等級の認定申請方法

後遺障害等級は、きちんと申請しなければ獲得できません。

申請先は自賠責保険会社になり、後遺障害等級の獲得申請のやり方は下記の2通りあります。

  1. 事前認定
  2. 被害者請求

4|仮渡し金の請求

仮渡し金の請求は、被害者請求のみに認められている制度です。

被害者に対する損害賠償は、本来は加害者の責任の有無や割合、賠償金額などが確定してからされるものであるため、請求から支払いまでに相当の日時がかかってしまいます。

しかし、それでは被害者が治療費や葬儀費用などの当座の支払いに困窮する場合があるので、被害者の当座の支出に充てるために、仮渡し金を前払いしてもらう請求をすることができるとされています(自賠法17条)。

仮渡し金の金額は、死亡の場合290万円、障害の場合はその障害の程度に応じて5万円、20万円、40万円とされています。

5|被害者請求のメリット

被害者請求は、被害者自らが検討し、自らに有利な書類を提出することで上級の後遺障害等級を獲得することができます。

被害者請求は下記のようなメリットがあります。

  • 被害者自らが申請することで、自らに有利な書類を吟味して提出できる。
  • 事前認定と違い、後遺障害等級が認められたときに自賠責保険が支払われる。(事前認定では、最終的な示談ができないと支払われないことになっています。)
  • 加害者側の任意保険会社から治療費などを打ち切られてしまった場合に、症状固定後の治療費などを自賠責保険に被害者請求できる。

6|どうすれば一番有利な被害者請求ができるのか

被害者請求は、交通事故の被害者であれば誰でも申請することができます。

ただし、被害者請求については医療的な見地からの検討が欠かせません。

  • 過去の認定実績・経験に基づく医療調査
  • 他の医療コーディネータとの連携
  • 実績に基づく照会回答書などや事実証明書類の作成

後遺障害等級の認定は非常にデリケートなので、ポイントをしっかり押さえた資料を提出できないと、獲得できる等級も取れなくなってしまいます。

後遺障害等級は、交通事故の示談交渉において非常に重要なポイントです。

ぜひ一度、専門家の意見を聞いてみましょう。

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