【コラム】交通事故スパーリングテスト
2015.9.12
1|むち打ち(頸椎捻挫)でのスパーリングテスト

スパーリングテストとは、頸椎に関する神経学的検査の一種です。徒手検査法で機械を使用しないものです。
脊髄の実質の症状である脊髄症状が軽微である、むちうち(頸椎捻挫)等で、神経根障害が疑われる場合に、実地されることがあります。
このほかの神経根症状誘発テストとして、ジャクソンテストも考えられます。
なお、神経根とは脊髄から枝分かれした末梢神経であり、神経根症とは、その神経根が障害を受けているものです。
神経根が通る各頸椎にある孔を椎間孔といいますが、その椎間孔を圧迫するテストです。
神経根症状が起きるかどうかを誘発するテストのために、神経根症状誘発テストとも呼ばれています。
2|スパーリングテストの概要
まずは、患者が椅子などに座ります。
医師が後ろから、患者の頭をつかみ、痛みやしびれが出ている側に傾け、同時に後屈して(下方に)軽く圧迫していきます。
これで、その神経根の支配領域に、痛みやしびれが出れば、スパーリングテストは陽性ということになります。
3|後遺障害診断書に書いてある、スパーリングテストの+や-

+は陽性(反応あり)、-は陰性(反応なし)です。
陽性とは、ジャクソンテストの圧迫で上肢に疼痛・放散痛が起こることです。
陽性であれば神経根症が疑われます。
放散痛とは、強い刺激が刺激の作用点以外に、特に作用点の周辺に、刺激作用や痛みを引き起こすことをいいます。
要するに痛みが周囲に広がっていくことです。
4|スパーリングテストの結果は重要なのか?
痛いかどうか、しびれがあるかどうかは、患者の自己申告になります。
そのため、嘘をついて、本当は痛みやしびれがないのに、痛みやしびれがあると申告すれば、陽性となってしまいます。
嘘をつけばごまかせるので、この検査単体では、それほど重要とまでは言えないと考えられますが、一般的に行われることが多いと考えられる検査です。
また、他のごまかしようのない検査(たとえば深部腱反射)と合わさることにより、医学的な説明または証明に説得力が生まれますので、指や腕にしびれ感があるなど、神経根障害が疑われる場合には、受けておいたほうが良いでしょう。